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「#ビールを選ぶ楽しみを」 をモットーにしている奈良醸造では、ラベルデザインも一緒に楽しんで欲しいと思っています。今回は、読書と一緒に楽しんで欲しいジャーマンエール「Garamond(ガラモン)」のデザインにまつわるお話。毎年、この季節に奈良醸造から出るジャーマンエールには、フォントの名前がついているのはご存じでしょうか?デザイナーのbutter 久保元気(@genki_ku )さんのコメントをご紹介します。
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---以下、久保元気さんより---
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今年も読書のおともにぴったりなビールとして奈良醸造からGerman aleがリリースされました。
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ALE & BOOKS(ビールと読書)という、共通のテーマにてこのビールはつくられており、毎回リリースされるビールには、文字に敬意を表わす意味も込めて、フォント(字形、書体)の名前を与えて、そのフォントを使ってラベルやセールスシートをデザインしています。
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FUTURA (フーツラ)、OPTIMA (オプティマ)、BODONI (ボドニ)ときて、今回は、大好きなGARAMOND (ガラモン)を選びました。
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フォントには、「この文字に特にそのフォントの特徴や個性がでる」一文字というのがあります。
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FUTURAだと、小文字のrやj、大文字のM。OPTIMAだと大文字のQや、クエスチョンマークなんかが特に個性が目立ちます。気になる方は検索してみてください。
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このgaramondというフォントだと、garamondの頭文字でもある小文字のgが特にユニークです。いわゆる、8の字のような形をした、「手で書けない」形。日本語にもいくつかこういう文字がありますが、いわゆる、読めるのに書けない字形です。
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さらに、garamondというフォントは奇妙なことに、いろんなgaramondがあって、それぞれの文字の形が少しずつ違うのです。
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これはgaramondの歴史が古く、派生したものや、使用目的に合わせてアレンジされたもの、わりと勝手にgaramondと名乗ったものなど、それぞれのgaramondについて話しだすときりがありません。
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今回のデザインでは、そんなgaramondのgの文字を幾つもの種類を組み合わせて描くことにしました。
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ひとえに、長く好まれ、今もスタンダードで美しい文字として愛されるgaramondらしい個性が見えます。
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願わくば、奈良醸造でつくるジャーマンエールも、改良と変化を重ねながら、そんな風に愛されていってくれたら嬉しいです。
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ひとつのビールから紡がれていくデザインのストーリー。デザインから見える世界を私たちもいつも楽しみにしています。年末年始は、積読していた本と一緒にビールを味わうのはいかがでしょうか?