Krushホップを使用したマイクロIPA「FACE(フェイス)」。アルコール度数わずか3.0%ながら、しっかりとした飲みごたえを感じていただける仕上がりで、リピートしてくださるお客さまも多いビールです。このビールのレシピを手がけたのは、ブルワーの金子。今回のビールについて、開発の背景や醸造のこだわりを聞きました。
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——今回、初めてひとりで書いたレシピとなりましたが、なぜマイクロIPAを?
元々マイクロIPAを作りたいと思っていたんです。使いたいホップやビールの完成形のイメージはあったので、それをどのように実現するかといったところからスタートしました。
マイクロIPAを造るにあたって、これだけは外せないと決めた点があり、1つ目はKrushホップを使うこと、2つ目はアルコール度数を3.0%以下でスッキリした飲み口にするということです。この2つを軸に麦芽の構成やホップを投入する量・スケジュール、など様々な条件を考えていきました。
今までの奈良醸造のマイクロIPAが、麦芽のしっかりとしたボディ感を残すことで飲みごたえを追求していたのに対して、今回は華やかなホップをふんだんに使っていつもと違う仕上がりにすることも考えました。
——醸造にあたり特に工夫したポイントはありますか?
1番工夫したのは、いかにしてアルコール度数を抑えるかということです。アルコール度数を下げようと思ったら使用する麦芽の量を減らせば良いのですが、それだと飲んだ時に物足りなさを感じさせてしまうことになります。
今回のFACEでは、麦芽の量は普段のIPAより気持ち少ないぐらいに留めて、麦芽と混ぜるお湯の温度を普段より高めに設定したり、あまり糖を食べない酵母を選択しました。結果的に、狙い通り3.0%のビールが完成しました。
Krushホップの使い方についても、奈良醸造では使ったことのないホップだったので、他に組み合わせるホップや投入タイミングなどは特に気を配りました。Krushを特徴づける柑橘やトロピカルフルーツの様な香りに、今回は同系統の香りを持つホップを重ねています。AmrilloもCitraも同じようなフレーバープロファイルを持つホップですが、どれも絶妙に表現される香りが違います。これらのおかげで、トップに香るミカンのような柑橘感、アフターに抜けるトロピカルフルーツやグレープフルーツ感を表現することができました。
——実際に完成したFACEを飲んでみていかがでしたか?
メインに使用したKrushやAmarilloといったホップの特徴がわかるような仕上がりとなっていて安心しました。ビールのボディも薄っぺらくない一方で、軽やかでスッキリとした飲み口になっており、いつもの奈良醸造のマイクロIPAとは違うものができたという印象です。全体的にスッキリとした柑橘のようなフレーバーが前面に出る仕上がりとなっており、アルコール度数が3.0%ということも相まっていくらでも飲めてしまう、というのが率直な感想です。
——どんな場面で、どんな食事と合わせて飲んでもらいたいですか?
うだるような暑さが残るこの季節、身体の渇きを癒すための最初の1杯だったり、お風呂上りのリラックスした状況での1杯、はたまた屋外でのレジャーなど、アルコール控えめでいきたい時にぜひとも飲んでいただきたいです。また、お酒に強くない方にもこのビールを片手に楽しいひと時を過ごしてもらいたく思います。
食事では、脂ののった肉料理や揚げ物、スパイス料理などと組み合わせて、スッキリとした飲み口のFACEで口の中をリセットするのが良いと思います。アルコール度数3.0%なので酔っぱらうことなくお食事の味を堪能できるはずです。
まだまだ残暑の続く夏を乗り切るための皆様の1杯になれば幸いです。
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「FACE」は、2025年に奈良醸造のブルワーたちが手がけるIPAシリーズの第3弾。ヘッドブルワー・浪岡がレシピを書いた「DOT」、ブルワー・小川がレシピを書いた「LINE」に続くビールです。
そして第4弾としてブルワー・佐久間がレシピを手掛ける「POCKET」も先週リリースしたところ。それぞれに特徴の違うIPAとなっていますので、ぜひ見かけたら手に取っていただければ嬉しいです。