ALE & BOOKS & CIDER ー ビールと本のペアリング
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今回は、奈良県在住の画家・イラストレーターのヒダカナオトさん(@naoto_hidaka_)に選書いただきました。ならまちにGallery&shop 一風を構えるほか、1/13-25は東京の高円寺で個展も開催されるそうです。お近くのかたはぜひ訪れてみてください♪
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『世界自炊紀行』
著者:山口祐加
出版:晶文社
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昨年、仕事で初めてインドネシアに行った。
そこでは、凄まじい数の車とバイクがほぼ車間ゼロで競り合う道路、赤道直下ならではの高温多湿の気候、のんびりしていておおらかな国民性、デカい植物、などと異国っぷりが繰り広げられており、事前に調べて心積もりしていたものの、日本とのあまりの違いに驚いた。
しかも道路には信号が無く、それはもう異国とか関係ないのでは…?と驚きすぎると冷静になることも初めて知った。
しかし、えらいもので2日目ぐらいにはすっかり慣れて、ときには現地民よりも素早く手を振り上げ車を制止し、インドネシアに移り住んで丸5年みたいな顔で道路を横断していた。
滞在最終日にはバイクタクシーのおっちゃんと記念撮影までした。
今回ご紹介する本を旅立つ前に読んで、異国への好奇心が大きくなっていたからかもしれない。
『世界自炊紀行』は“自炊料理家”である山口祐加さんが1年をかけてヨーロッパ・中南米・アジアの12カ国を飛び回り、全38家庭を取材し、それぞれの自炊事情をレシピとともに紹介した本である。(紹介されているのはそこから厳選された24組)
いったいどんな満漢全席が飛び出すのかと思いきや、紹介されている世界の自炊は、魚と野菜を丸ごとオーブンで焼いたり、冷蔵庫の中の野菜と豆を煮込んで撹拌してポタージュにしたり、想像していたより適当というか自炊に対して肩の力が抜けているものが多く、何これユルくてめちゃくちゃいいじゃん…!、と意表を突く楽しい内容になっている。
また、自炊から垣間見えるその国々の文化を、山口さんが驚きつつも物腰柔らかく受け入れていく様子など、なんと素敵な世界なのだろう…としみじみ噛み締めるような優しさも随所に満ちている。
自炊料理の本を読んでいるとは思えない。
550ページというびっくりするほど厚みがある本ではあるけれど(僕はびっくりしてすぐに自分の中の分厚い本代表ハリーポッターのページ数を調べた。ちなみに賢者の石で480ページ。)、素敵な料理がたくさん出てくるし、写真もあって読みやすいし、夜な夜な仕事終わりビール片手に、章ごとに分けられている12カ国をちびちびと読み進めるのがとても楽しい。
酔いが回ってくれば、なんだか世界を旅しているみたい!と良い感じになってくるに違いない。
余談ではあるが、本をこの企画のためにもう一度読み直そうと思ったが見当たらなかったので妻に聞くと「おもしろすぎて友だちに貸しちゃった、ごめん」と言われ、え、僕の本を勝手に…?と驚いたけど、いやいや全然オッケーよ、と異国で培ったおおらかさで許したのだった。

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Selected by ヒダカナオト(Naoto Hidaka)|画家・イラストレーター
奈良県在住。毎年個展を開催しているほか、雑誌や広告等のイラストレーションを制作。
2026/1/13-25 に東京・高円寺のCLOUDS gallery+coffeeにて個展『百虎百猫』を開催。
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ヒダカナオト個展『百虎百猫』
2026.1.13(火)-25(日)月曜定休 13:00-19:00(※最終日17時まで)
場所:CLOUDS gallery+coffee (@clouds_koenji)
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。
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