ALE & BOOKS & CIDER ー ビールと本のペアリング
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今回は、株式会社sirenの清藤さんの選書です。清藤さんは奈良醸造のデジタルインフラを支えるシステムエンジニア。実は年始に発表したゲーム「BEER DROP」の共同制作者でもあります。現在も醸造長・浪岡と一緒に新たなゲームを計画中だとか‥。
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『90年代ヘヴィ・メタル/ハード・ロック ディスク・ガイド』
編集:BURRN!編集部
出版:シンコーミュージック
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仕事して娘を寝かしつけて洗い物が終われば部屋にこもって、ビール片手にやっと自分時間。プシュッと缶を開ければ、日常からいったん解放できる。この本をひとたび開けば、メタルにはまっていた青春の90年代にいつでもタイムトリップできる。
ペラペラめくれば持ってるアルバム、欲しかったアルバム、売っちゃったアルバム、次に手にいれると決めているアルバムが目に飛び込んでくる。ビールを一口含みながらページをめくるたびに、CD集めの趣味がまた再燃していく。
「あー3枚目だけ持ってなかったな」
「このアルバム全米チャート5位だったんだ?」
「えっ?このバンドってあのバンドのギターが抜けて始めたのか…」
「このバックコーラス実はあのバンドのボーカル?」
喉を潤しながら読み進めるうちに、いろいろな発見が繋がっていく。バンド同士の意外な関係性、知らなかったエピソード、見逃していた名盤。読むほどに、音楽の記憶も鮮明に蘇ってくる。おかげで当時は知らなかったけど大好きになれるアーティストにまた1つ出会ってしまった。
当時は友人と原付で県内の中古CD屋を片っ端から回っていた。ブックオフから別のブックオフ、個人経営の小さな店。なけなしの小遣いとバイト代握りしめて、300円コーナーで掘り出し物を探す。1枚買うのにもたっぷり時間をかけて選ぶ。値付けのわかってない帯付き美品がでてきたときの興奮といったら。友人と手に入れたアルバムを自慢し合う。帰り道も鼻歌が止まらない。
あの頃はお酒は飲めなかったけど、今はビールを傾けながらあの頃と違う耳で音楽を楽しむ。当時の自分と今の自分が繋がっていくような感覚に酔いしれる。形や時代は変わったけど、楽しみ方の本質は変わってない。Spotifyがあれば気になったアルバムをその場で聴けるので、とんでもない時代になった。スマホを片手にディスクガイドで見つけた曲をすぐに流せる贅沢。でも、この本で再発見したアルバムを、また中古屋(廃盤が多いからね)で探しに行く楽しさも忘れてない。今度時間ができたらまたディスクユニオンに行ってみようか。
時代は変わっても、音楽に夢中になってる自分は変わってない。ビールとこの本で今日も深夜にふけていく。過去と現在を繋ぐ、至福の時間。

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Selected by 清藤秀樹(Hideki Kiyotou)|株式会社siren
奈良醸造の業務店向けECサイト、樽管理システムの開発・運用を担当。昨年は奈良醸造コラボのレトロゲーム「BEER DROP」を開発。来年は?
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。
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