ALE & BOOKS 「ビールと読書」
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7冊目は、「UNDERWATER」でコラボレーションした油長酒造・中川さんの選書です。
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『有頂天家族』
著者 / 森見登美彦
出版社 / 幻冬舎
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奈良県御所市、油長酒造で「風の森」という日本酒を醸しております、中川悠奈です。奈良醸造さんの「UNDER WATER」でコラボレーションをさせて頂いております。
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約10年間、日本酒を造り続けてきた自分ですが、晩酌ではビールやワインを頂く事が多いです。奈良醸造さんをはじめ、クラフトビールの多様性は、日本酒というカテゴリーの中でひたすらお米や酵母に向き合う自分にとっては非常に刺激的で「どんな味わいなのだろう」というワクワク感や、醸造家の皆さんの冒険心に思いを馳せ、楽しんでいます。
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本に関しても非日常的でワクワクするような小説が好きで、今回ご紹介させていただく本は、奈良県出身の作家、森見登美彦さんの著書である『有頂天家族』です。物語は京都の下鴨神社、糺の森に暮らす狸界の名門 下鴨家の三男坊、下鴨矢三郎を主人公としています。時に人間に化け、天狗や人間と交じり合いながら、亡き父狸から受け継いだ「阿保の血」の赴くままに、京都の街を駆け回る矢三郎の日常が描かれています。叔父や従兄弟との争いや亡くなった父親の死の真相など、シリアスな要素に時にハラハラしながらも、登場人物である狸たちのフワフワとした愛らしさや家族愛に、読むと多幸感に包まれます。
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伝統を重んじる日本酒の世界ではありますが、「面白きことは良きことなり」がモットーの矢三郎の様に、時には心のままにお酒造りの新たなチャレンジに挑んでいきたいと思っています。
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麦芽の香ばしい香りと甘みがしっかりと感じられるジャーマンエールのGaramondをお供に、ゆっくりと日常を忘れて、ビールと物語に「ワクワク」する時間を楽しまれてはいかがでしょうか。
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Selected by 中川 悠奈(Haruna Nakagawa)|油長酒造 醸造長
「里山を100年先に繋ぐ酒蔵」として、御所市の山麓地区の棚田で栽培されるお米を中心に、棚田のど真ん中で日本酒を醸造するマイクロブリュワリー「葛城山麓醸造所」を2024年の醸造開始予定に向け、準備中です。葛城山麓醸造所のアカウント @kazenomori2024
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中川さんとの対談記事はこちら。
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。
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このあとも様々な方から選書いただきます。どうぞお楽しみに!
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