ALE & BOOKS 「ビールと読書」
.
今回は、京都・木屋町通の三条通・四条通の真ん中にあった京都市立立誠小学校の跡地にある立誠図書館さんに選書いただきました。
「新装版 標本の本 ― 京都大学総合博物館の所蔵室から」
著者/村松美智子 伊藤存
出版/青幻社
.
小学校の跡地に生まれた立誠図書館は、改修前まで理科室と理科準備室がそのまま残っていて、学習標本が長らくそのままだったことを思い出します。かつて生きていたということもあり、また動き出しそうで、なんとなく見るのをためらわれた動物たち。そんな少し怖かった生命の記録は、ビールを武器にほろ酔い気分でめくりたい1冊。思い切って読んでみると意外と愛らしく、整然として驚きにあふれ、未知への扉を開きそうな予感がします。
.
.
「日本の味 郷土料理めぐり」
監修/一般財団法人 日本食生活協会
出版/株式会社ニール
.
立誠図書館の蔵書の核のひとつとして「食」があります。日本の風土や信仰と密接につながった郷土料理には、積み重なった人の営みが見えます。気になってページを開くのは故郷やかつて住んでいた土地、またこれから行きたいところ。遠くへ行くことが困難な今だからこそ旅をした気分も味わえるし、本を参考にして次のビールのアテを何にしようか考えるのも楽しいです。
.
.
「折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー」
編集/ケン・リュウ
出版/早川書房(ハヤカワ文庫SF)
.
短編小説とビールというのはとても相性がいいのではないかと思っています。最後に選んだ1冊は、今勢いのある中国SFの短編集。現代社会を皮肉ったような奇想天外な設定、共感するには大きすぎるスケール。ゆるゆるとFUTURAを飲み、麦芽のふくよかな香りを味わいながら、刺激的なSFの世界と現実、酔いと素面をいったりきたりする感覚がたまりません。
.
.
.
立誠図書館
https://www.bunmachi.org/rissei-library
立誠図書館は明治2年に下京第六番組小学校として開校、平成5年に124年の歴史と共に閉校した京都市立立誠小学校の跡地に開業した「立誠ガーデン ヒューリック京都」内に一般社団法人文まちが設置する図書館です。ブックディレクター”BACH”の幅允孝氏が選書を監修した5つのカテゴリーの書籍、約3000冊を所蔵しています。立誠図書館は「地域のまなびや」であり“もっと、つながる”をビジョンに人と本、人と人をつなぐ図書館運営を目指しています。
イラスト: 中川学
ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。