ALE & BOOKS & CIDER ー ビールと本のペアリング
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読書に合うビールを提案する「ALE&BOOKS&CIDER」企画。奈良醸造の新作「kabel(カベル)」を飲みながら読みたい本を様々な方にを選書いただきました。今回は、奈良醸造でマーケティングを担当する原田の選書です。
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『竜馬がゆく』
著者:司馬遼太郎
出版:文藝春秋
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「ビールと本」と聞いて、クラフトビールの沼に足を突っ込みはじめた頃、同じくして「竜馬がゆく」にハマっていた自分を思い出した。休日の昼にクラフトビール屋で本を読む、という行為がカッコいいと思っていた年頃。飲むペースが早いから、だいたいどこまで読んだのか忘れ、次の日には同じページを読み返す。全8巻を読むのに余計に時間がかかった気がする。
それはさておき、この本にはビール好きにとって隠れたロマンがある。なぜなら、龍馬が生きた時代は、日本にビールが輸入されはじめた時代。ゆえに私は、龍馬がビールを飲むシーンを心待ちにしながら、ビール屋でこの本を読んでいた。多々登場する酒を飲む描写。爽快な酔いっぷりに自分の飲むペースも上がっていく。
しかし、待てど暮らせどビールの記述は現れず、1867年、龍馬はその一生を終える。
そう、この本にはビールの「ビ」の字も「麦酒」の「麦」の字も出てこない。
長崎を拠点に海外との貿易・商社組織を作り上げた坂本龍馬。日本のビールの歴史のすぐ近くにいながら、ビールを飲まずに一生を終えたのだろうか。
悲しいかな、坂本龍馬の死(1867年)からほどなくして日本初のブルワリーが設立(1869年)。
龍馬はビールを飲んだら何と言っただろうか。いや、本当はビールを飲んでいたのだろうか。そんなことを空想したことも、次の日には忘れてしまって、また同じページを読む。だから、ビールと本は相性がいいと思う。

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Selected by 原田純ルイス(Junluis Harada)|奈良醸造
クラフトビール好きが高じて、東京のテレビ局を退社。奈良醸造にマーケターとして入社。
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。
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