奈良を代表するローカルガストロノミーレストラン「akordu(アコルドゥ)」。東大寺の旧境内跡地、奈良公園特有のおだやかな空気が流れる空間の中にその佇まいを構え、奈良市内の中心部でありながら四季折々の移ろいを五感で感じられる場所。
そんな「akordu」で奈良産の素材を変幻自在に取り入れ、美味しさの上に驚きを重ねた料理を創造されているのが、オーナーシェフの川島さん。2022年に「Midsummer Night’s Dream」という名前のビールで初めてコラボレーションをしました。その際は、東京にあるRestaurant & Bar TOKi でペアリングイベントを行いました。
そして昨年2023年の9月には、「akordu」の敷地内に誕生したカフェ「くもり時々アバロッツ。」(@cafe_abarotz )のオープンを記念し、コラボレーションビール「MALKO」をリリースしました。
アバロッツとは、バスク語で木々がざわめく様子に由来する言葉。
「くもり時々アバロッツ」は、まさにそんなざわめきが感じられるような場所にあります。晴れの日、雨の日、そして曇りの日も、季節を感じながら使ってもらいたいという思いが込められたそんなカフェです。川島さんはスペイン・バスク地方にあるレストラン『ムガリッツ』で修行をされたことから、バスクには特別な思いがあります。
そんなカフェのこけら落としビールのお話とともにいただいたテーマは、しっかりとした味わいがありながらも、いつでも飲める飲みやすいビール。まさにこのカフェのコンセプトを体現したビールができないか、というオファーでした。
この2つのバランスを取るために、奈良醸造では初めて下面発酵酵母を使用してラガーに挑戦することにしました。ラガー酵母を使用したビールにはスッキリと爽快でゴクゴクと飲める、といった特徴があります。
おかげさまでMALKOは好評のうちに早々に売り切れ。飲み逃がした方も多く、有難いことにリクエストの声を頂戴していたのも確か。何より、川島シェフからももう一度飲みたいという声をいただきました。そこで、春をイメージしたチューニングのもとに再びMALKOをリリースすることになりました。
スタイルはイタリアンピルスナーという、ピルスナーの中でも比較的最近になって生まれたスタイル。イタリアの小さなクラフトブルワリーが醸造したのがはじめだとされています。クラシックなジャーマンピルスナーをベースに、ノーブルホップと呼ばれるタイプのホップでドライホップをするところがこのビールの大きな特徴です。
2023年のMALKOに比べて、春をイメージして苦みの余韻が軽くなるように見直しを行いました。サファイアホップをふんだんにドライホップに使用したフローラルな仕上がりです。グラスに注がれたビールはクリアな黄金色。上品で柔らかいホップの香り、軽快なモルト由来の甘みが、控えめながら爽やかなホップの苦味と調和します。ゴクゴクと飲み干せるバランスはこれからの季節にうってつけ。
また、今回のMALKOも、奈良市・東大寺旧境内に佇むカフェ「くもり時々アバロッツ。」で提供いただきます。奈良の素材にこだわった、美味しいお菓子やスイーツとのペアリングをぜひ楽しんでいただければと思います。
ちなみに、ビールの名前「MALKO」はバスク語で涙。ビールも雨も、すべては絞り出された一粒の「雫」。それを「涙」と表現して、今回のビールの名前としました。一粒の涙、飲み干してみてください。