ALE & BOOKS 「ビールと読書」
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2冊目は、ALE&BOOKSではおなじみ、とほんの砂川さんです。
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『ポエトリー・ドッグス』
著者:斉藤 倫
出版:講談社
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奈良県大和郡山市で「とほん」という小さな本屋を営んでいる砂川です。
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今回紹介するのは、バーが舞台のちょっと変わった一冊です。
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このバーのマスターは犬で、お酒を頼んだあと、フサフサの手で「詩」を差しだしてくれます。偶然そこに辿り着いた主人公は、「いやあ、詩は、むずかしいなあ。酔ってると」などとマスター相手に会話をしていくなかで、差しだされた詩と響き合うものが自分の内面にあることに気づいていきます。
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散歩の詩、果物の詩、カエルの詩、棒を飲み込む詩、人間がいなくなる詩。
マスターが選んだ詩をすぐには理解できずに何度も読み返す主人公。やっと浮かんだイメージを言葉にした主人公に、「人間はそうやって詩を読むんですね」など、犬目線のコメントを返してくるマスター。そのやり取りを通して、掴みとれなかった詩の世界と、主人公が抱える人生が、少しづつ読者へと開かれていきます。
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「そうか、詩はこうして楽しむのか」と、詩の入門書のように読み進めていくと、後半あたりから思いもよらぬ方向に展開します。秋の夜長、ビール片手に主人公とともに酔いながら、31編の詩とそこから広がる物語をお楽しみください。
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Selected by 砂川昌広(Masahiro Sunagawa)|本屋とほん店主
奈良県大和郡山市にある本屋とほん店主。大切に持っていたくなる本、長く読み続けたくなる本、読んで良かったと思える本を揃えています。
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前回のALE&BOOKSでは、砂川さんと対談を行っています。こちらもあわせてお楽しみください。
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。
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このあとも様々な方から選書いただきます。どうぞお楽しみに!
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