今週より出荷開始となる、奈良醸造のジャーマンエール、「OPTIMA」。
春にリリースした「FUTURA」に続き、フォントにちなんだビール名となっています。
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そして、春に引き続き、「ALE & BOOKS」も行います。
今回は、「ビールと読書」をテーマに、お一方にじっくりとお話を伺ってみました。
対談相手は地元・奈良県大和郡山市の柳町商店街にて、2014年より書店「とほん」を営まれている、店主の砂川昌広さん。
秋の夜長、ビールのお供になるようなお話がたくさん聞けました。
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ビールと本
#1 秋なのでビールを片手に本を読む
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食欲の秋、読書の秋だからというと少し単純ですが、奈良醸造の代表・浪岡安則と、本屋・とほん店主の砂川昌広が、「ビールと本」にまつわるよしなしごとを、とほんのとある定休日に、店内で昼ビールをちょっと飲みながら、あーだこーだと話しました。ときどきカメラマンとライターの横やりも入りつつの約3時間を全3回でお届けする第1回です。
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浪岡
今日はよろしくお願いします。こんな風に改まってお話しする機会は初めてですね。どうなることか(笑) まずは、とほんさんの自己紹介からお願いします。
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砂川
はい、よろしくお願いします。奈良県大和郡山市で「とほん」という名前の本屋をやっています。7年目です。小さい売り場なりにジャンルを幅広く置くことを心がけています。「手に取りやすく、読むと奥深く、長く持っていたい本」を選書することが目標です。
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浪岡
とほんさんは、とほんさんをめがけて来るお客さんが多いんじゃないかなと思うのですが、そういう方に向けた選書なんですか?
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砂川
めがけて来てくださるのももちろんありがたいですし、フラッと入ってきてもらえる店、何か気に入るものを見つけてもらえる店であれたら、うれしいなと思います。奈良醸造さんこそ、かなりめがけて行く感じなのでは。
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─ 奈良醸造は大和郡山市と思われがちな奈良市にありますよね。
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浪岡
イオンモール大和郡山のすぐそばなんで・・・まわりは工場や倉庫で、奈良駅からも距離があって。いまだに近所の皆さんに気付かれてないんじゃないかな(笑) でもいい場所で始めることができました。
砂川
奈良醸造さんを知るまで、クラフトビールには縁がなかったです。クラフトビール増えましたよね?
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浪岡
うちのような醸造所は「マイクロブルワリー」と呼ばれたりしますが、ここ数年で増えました。本屋さんにもそういうのあるんですか? 例えば、とほんさんのような書店を指す呼び方。
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砂川
たぶん呼び方問題はずっとあって。最近は独立系書店やセレクトブックショップというのが多いのかな。一昔前は個性派書店とか、名物店主の店とか。
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浪岡
はい。
砂川
便利なので、ぼくも自己紹介で独立系書店と言うことありますが、昔から個人書店はあって独立してるし、どこの店も選書しているので。呼び名が定まらないなというか、まずは「とほんらしい本屋」と言ってもらえるようにと考えています。あ、ビールいいですか?
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浪岡
ぜひぜひ!
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砂川
いただきます(ゴクゴク)。うわ、やっぱりめっちゃおいしい。
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浪岡
おお、ありがとうございます! 2021年春に「FUTURA」という「ビールと読書」をテーマにしたビールをリリースしまして。どんな食事と合うかよく聞かれるんですね。それと同じように、ビールと本のペアリングを考えるのも面白いんじゃないかなというのがきっかけでした。それに続いて、今回の「OPTIMA」です。
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砂川
飲みやすいです(ゴク) ほんと旨い(ゴク)
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浪岡
わー、良かった!「秋の夜長に、ほっと飲めるビールを」と思って今回の「OPTIMA」を造りました。
浪岡
実は家ではビール飲まないし、恥ずかしながら最近は本をあまり読めてもいなくて。
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─ では、これを機にじゃんじゃんですね。
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浪岡
ははは。読書は好きなので。砂川さんは飲みながら読書しますか?
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砂川
します。既読のお気に入り詩歌集をパラパラめくることが多いですね。それと最近は児童書。
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浪岡
児童書!
砂川
シビアな長編は、人間関係やストーリー展開などいろいろ分からなくなるので(笑)
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浪岡
外国文学、登場人物多すぎて、人物相関図書き出したことある(笑)
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砂川
わかります(笑) その点、詩歌集は好きなところを拾い読みして楽しめるし、児童書はストーリーが難解すぎないところがちょうどいい。
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浪岡
なるほど。秋の夜長の「ビールと本」に何かおすすめの一冊を挙げるとしたら何かありますか?
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砂川
『トムは真夜中の庭で』(フィリパ・ピアス作)はどうでしょうか。ほろ酔いで読んでも筋を追えると思います。これ、とほんのインスタグラムで紹介したところ「子どもの頃に読みました!」という反応が多くて驚きました。さすが児童文学の名作。ぼくは児童文学を読んできませんでしたが、大人になってから出会えば、大人なりの読み方ができますね。時間が流れていくことの切なさや、伏線の張り方の巧みさとか、すごく上手い。ちょっと酔って読むと「そうきたか!」と、ややテンション底上げされて盛り上がれるのもいいです(笑)
─ 夜のお話というのもぴったりですね。
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砂川
たしかに。浪岡さんが読むとしたらどんな?
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浪岡
谷川俊太郎がとても好きなんです。『空の青さをみつめていると』は、学生時代ずっと持ち歩いていました。外国旅行にも。谷川さんって自己肯定感の強い人ですよね。大学時代の屈折感、谷川さんの詩を読んで、肩の力が抜けた気がして。あの短い詩で。「本は人を救うな」と思いました。
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砂川
すばらしい読書体験ですね。『空の青さをみつめていると』の文庫、うちの棚にもあったんですが今ない……。ここでパッと出せたらかっこよかった……。谷川さんの『二十億光年の孤独』ならあるんで、今から谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』になりませんか?(笑)
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2回目に続きます。