ALE & BOOKS 「ビールと読書」
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奈良醸造でビールを造っている浪岡です。
ビールを片手に読書。贅沢な時間です。そんなこころがほどけていくときに読みたい本、いくつかを紹介したいと思います。
美味、珍味、怪味、媚味、魔味、幻味、幼味、妖味、天味、滋味、禅味、 佳味、仙味。世界中には『美味しい』の枠組みの外にある食べ物、酒がまだまだたくさんある。小説だけでなく、ルポ、エッセイでも大きな足跡を残した行動する作家が自らの目と舌の体験から綴られたエッセイはお酒のお供にうってつけです。
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『地球はグラスのふちを回る』
著者/開高健
出版/新潮社
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このフォントを見るだけで心が騒ぎます。100円を握りしめてドキドキした記憶がにわかに蘇ります。ドキドキがガチャガチャして出てきたカプセルにガッカリした記憶も同時に浮かび上がってくるのですが、ガッカリの中身が何だったのか、今となってはよく思い出せない人も多いのではないでしょうか。この本を手に取れば、ページを捲るたびにもやがかっていた記憶に晴れ間が差し込むことでしょう。その光の先に見えたものが、『ロッチ』だったとしても。
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『愛しのインチキ・ガチャガチャ大全 ーコスモスのすべてー』
編集/ワッキー貝山 著者/池田浩明
出版/双葉社
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酒をこよなく愛した詩人、田村隆一。
この全集には、第一詩集『四千の日と夜』から始まる彼の初期作品が収められています。極端に形容詞を削ぎ落とした詩句は、まるで水晶のように透明で腐りにくく、読むたびに新しい発見があります。
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ウイスキーを水でわるように
言葉を意味でわるわけにはいかない
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これは詩集『言葉のない世界』の最後の二行。針一本床に落ちてもひびくような夕暮、ビールを片手に反芻していると、何かしらわかった気になってくるかもしれません。
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『田村隆一全集 1』
著者/田村隆一
出版/河出書房新社
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。