瓶内二次発酵のボトルシリーズ“N BOTTLE CONDITIONED” に新しくラインナップされる「INTEGRAL B」。奈良醸造の定番のビールとして、大瓶ボトルでのみ販売されているセゾンビール「INTEGRAL」のレシピをベースとしながら、瓶詰時に異なる酵母を入れることで「INTEGRAL」とは全く違う味わいに仕上げています。
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使用している酵母は、ブレタノマイセス(通称ブレット)。その名に聞き覚えのある方はちょっとしたお酒好きの方ではないでしょうか。1900年代初頭に発見され「ブリテン島の菌類」という意味でその名が付けられたこの酵母、ワインではその独特な香りが他の味わいを妨げるために、悪役として忌避されてきました。これはいわゆる「普通」のビールにおいても同様。せっかくのビールの味わいを台無しにするだけでなく、醸造所のタンクのちょっとした隙間に住み着いてしまうと、造るビールがことごとくこの味わいになってしまう、という醸造家にとっては悪夢のような酵母でもあります(ブレタノマイセスは洗浄が厄介な、醸造家泣かせの酵母なんです)。
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ただ、一部のベルギービールではこの酵母が醸し出す味わいがビールの特徴に不可欠な要素となっているのも事実。適切にコントロールをすることで、通常のビール酵母では生み出せない複雑なニュアンスをビールに与えることもできるのです。暴走すれば取り返しのつかないお酒になってしまう反面、適切に管理すれば独特な味わいが作り出せる。ブレタノマイセスとは、そんな魔性の魅力を持った酵母と言えるでしょう。
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そんな酵母の魅力に魅入られて出来上がったのが、「INTEGRAL B」。

通常のビール酵母なら長くても数週間で発酵を完了させるのに対し、ブレタノマイセスは、長期間にわたって活動を続けます。その時間軸は週単位ではなく、月単位、年単位。熟成による変化を楽しむボトルシリーズの「INTEGRAL B」も、このブレタノマイセスの働きにより、開栓のタイミングで見せる表情は変化に富んでおり、その味わいは一言では表現しきれない非常に複雑な味わいに仕上がっています。
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グラスに注ぐと、まず感じられるのは土のようなワイルドなアロマ。口に含むと、スパイシーで複雑な味わいを感じられ、程よい酸味とドライな仕上がりが全体を引き締めます。最後に現れるのは、ベリーを思わせるような繊細な風味。一杯のなかに多層的な味わいの変化を楽しんで頂けます。
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一定期間の熟成を経てからリリースをしておりますので、お手に取ったその日から楽しんで頂けますが、寝かせることでさらなる味わいの変化を待つとまた違った味わいを感じていただけることでしょう。
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来週9月15日に業務用発売が迫る「INTEGRAL」と「INTEGRAL B」。定番商品の「INTEGRAL」もリニューアルしたラベルでお届けする予定です。

どちらのビールもともに樽(ケグ)や缶でのリリースはなく、750mlの大瓶でのみのリリースとなります。
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その登場を、ぜひ楽しみにお待ちください。