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#ビールを選ぶ楽しみを をモットーにしている奈良醸造では、ラベルデザインも一緒に楽しんで欲しいと思っています。今回は、りんごとシナモンを使ったスモークドグラフ「MACGUFFIN(マクガフィン)」のデザインにまつわるお話。デザイナー、butter 久保元気さんのコメントをご紹介します。
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MACGUFFIN の話
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MACGUFFIN(マクガフィン)とは、小説や映画に出てくる、物語をすすめるキーアイテムやキーパーソンのこと。中身はなにかわからない、誰も知らない、でも重要なもの。奈良醸造では「誰も知らない、でも奈良醸造を先に進めるビール」になることを願って毎年味わいの異なる「MACGUFFIN」をリリースしています。
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さて毎年コンセプトを同じに、名前もビールの内容も変わっていくこの厄介なマクガフィン、この言葉を作った映画監督のアルフレッド•ヒッチコックの名作をオマージュして毎年ラベルを描き起こしています。
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初めてリリースした2022年は、最も好きな『めまい』をモチーフに。昨年2023年はヒッチコックの魅力がこれでもかと楽しめる『裏窓』を。
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2024年、今年は、『ダイヤルMを廻せ!』を、アイデアソースに、これまでになく直球で描きました。
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この映画でのマクガフィンは、そのものずばり、電話。ただ少しトリッキーに、ヒッチコックは電話をマクガフィンに仕立て上げています。
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私たちがこの映画を観るときには、かならずタイトルのダイヤルM (Dial M for Murder)というキャッチーな言葉を耳にしています。その結果、聞きなれないダイヤルMとは何なのか?どんなふうに物語に関わってくるのか気になり、この作品を観てる間、殺人ダイヤルMに意識がふりまわされてしまいます。
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マクガフィンは、ユニークなタイトルで作られ、ヒッチコックの手のひらで私たちは踊らされるわけです。
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マクガフィンという言葉について説明されるときに、よく言及されることの一つに「謎に満ちた魅力的なものだけど、物語的にはどうでもよくて置き換えがきくもの」という話があります。
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スパイが奪い合うのは、核爆弾のスイッチでもダイヤモンドでもどちらでもストーリーを展開する上ではよい。ブロンドの美女でも黒髪の美女でも、謎の女は謎の女、というわけです。
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そういう意味では、マクガフィンはつまらないもの。なんでもいいとも言える。ビールも嗜好品、別に飲んでも飲まなくてもどちらでも同じだし、ほとんどの人は、きっと人生は変わりません。それこそ、何かに置き換えても人生はきっと楽しく充実するでしょう。
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ただ、奈良醸造にとってマクガフィンを醸造するということは、実は、奈良醸造を毎年大きく前進させています。普段使わないような原料や、テクニック、アイデアを詰め込み自分たちも全く未知なものを醸造することで、そのインスピレーションや技術がフィードバックされ、他のビールづくりにも役立てられてます。
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飲んでみると、面白いことに気づいたり、新しい何かを見つけられるかも。
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飲まなきゃ死ぬわけじゃない。でもビールを飲むということ行為自体が、魅惑のマクガフィンな気がしてたまりません。
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デザインから見える世界を、私たちもいつも楽しみにしています。この「MACGUFFIN」の缶は、窒素を充填したナイトロ缶ビール。振って注ぐことでクリーミーな泡を楽しめます。振って飲むビールとは、どういうこと?そんな疑問についても、ぜひ探求していただければと思います。
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