#ビールを選ぶ楽しみを をモットーにしている奈良醸造では、ラベルデザインも一緒に楽しんで欲しいと思っています。今回は、毎年年末にリリースしている「QUO VADIS(クオヴァディス)」のデザインにまつわるお話。デザイナーであるbutter 久保元気さんのコメントをご紹介します。
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ラテン語で「どこへ行くのか?」と名付けられたこのビールがリリースされるのもはや5回目。
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普段使われない白ワインの醸造に使われる酵母とブドウのような香りがたつポップでお酒作りをした、ちょっと、いいとこどり、なビールです。
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また毎年、まだ見ぬ先をうらなうような気持ちを込めて、年末にリリースするようにしています。
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と、ここまでを毎年紹介してるのですが、「どこへ行くのか?」という名前通り、未知のことをやる、というテーマをビールや商品を作る側もけっこう大切にしていて、大枠こそ同じであれど、毎年新しいアプローチを試しているのも、クオバディスの特徴です。
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たとえば、2021年ののクオバディスは、CITRAポップの中にある、ブドウに近い香気成分に注目して、CITRAからブドウ的な特徴をひき出して組み合わせることにチャレンジしたり、2022年は、国産のワインパミス(ブドウの果皮や種)を使用してフレッシュな日本ワインのようなニュアンスを多層的に表現したりと言った感じです。
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2023年は、ウッドチップを浸潤させることで木樽のもつタンニンの感じを再現し、よりレイヤーのある味と香りを目指しました。なかなか、いい感じじゃないかと。
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そんなQUO VADISなので、変化を望む気持ちと、また同じ気持ちが新鮮に繰り返されて欲しい時う願いを込めて、ラベルやポストカードのデザインは、「毎年同じカラーパレットを使って別の模様に」なるように描いています。
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2023年は、他のビールで割と複雑な絵をたくさん描いたので、あえてとてもシンプルな、構成にしてみました。気に入ってます。
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後藤ひろひと作の演劇から、私の大好きなDanny boyの替え歌の歌詞を引用したく。
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「砂漠をいく船に のろう。瞬きの星 目指して。辿り着くなら どこでもいい、またこの場所だとしても」
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来年も、このビールが作られて、年末にまた同じようなことを口にする、そんな平穏で、前向きな、未来があればと望みます。
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ひとつのビールから紡がれていくデザインのストーリー。デザインから見える世界を私たちもいつも楽しみにしています。