神奈川は茅ヶ崎。
この街の名が何とも甘美な響きに感じるのは、海のない奈良県人にとっては、憧れの感情が重なっているのかもしれません。
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ここ茅ヶ崎には、クラフトビールファンにその名を轟かせるBarbaric WORKSというブルワリーがあります。2016年から醸造を始められたこちらで、独創的かつハイクオリティなビールを生み出し続ける醸造長の永石さんに、奈良醸造の浪岡が初めて出会ったのは2017年秋のこと。
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当時の奈良醸造は、醸造所の場所は決まっているものの、建物の中はまだからっぽ。醸造タンクが届くのを待ちながら、ビール醸造免許の申請を行っている最中。そんななかでも、「これから奈良でビールを造るので、よろしくお願いします!」と、名刺だけを持って全国の取引先店を訪ねて回るという地道な営業活動を行っていました。
ちょうどそのときの最後の目的地が茅ヶ崎で、「これからビールを造るのなら、ぜひ行くべきブルワリーがある。」と教えて(そして、土地勘がないので連れてって)いただいたのが、このBarbaric WORKS。
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「好きなホップは?」なんて、初対面でいきなり聞いてくる永石さんと、すぐに意気投合したのは、茅ヶ崎独特の空気感のおかげかもしれません。その夜、お店を後にして宿に戻る道中、ローカルでクラフトビールを造るとはどういうことなのか、少しだけ見えたような気がして、よし頑張ろう!と、ガッツをもらったことは今でも鮮やかな思い出となっています。
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そして2018年7月。
奈良醸造の醸造第1号となるビール「ファーストバッチ(Public Pressure)を飲んだよ!」と永石さんから連絡が入ったときは、とても嬉しかったです。ビールを飲んでもらえたこと、そしてブルワーとして認めてもらえたこと、その両方の意味で。
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その後は、お互いにビール造りについての相談や情報交換をしていくなかで、芽生える思いは、「コラボで何か面白いことをやろう!」ということ。
その思いが今年2021年、ようやく実現しました。
コラボにあたっては、永石さんの思う「奈良醸造」のイメージに、浪岡の思うBarbaric WORKSらしさのあるビールづくりを重ねることにしました。とはいえ、実際にはやりたいことがありすぎて、削ぎ落としながらひとつのレシピにまとめ上げていった、というほうが正確かもしれません。それほどに、やりたいことが盛りだくさんだったわけです。
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(続きます)