これまで2回に渡り、Far Yeast Brewingとのコラボの経緯や新しく挑戦した手法について語ってきました。
今回はいよいよビールについて。
アルコール度数は6.5%、ほどよく飲みごたえのIPAに仕上がっています。
喉を通った後に残る余韻は柑橘系ホップ(Mosaic、Simcoe)からくるものですが、ここにTalusホップの香りが重なることで、グレープフルーツよりも和柑を思わせる優しい苦味が感じられます。
また、奈良醸造としては初めてとなる、ビール酵母をブレンドするMixed Culture(ミックスカルチャー)という手法を用いて発酵しています。これは、奈良醸造がIPAを造るときに使用しているイングリッシュイースト(イギリス系酵母)に、Far Yeast Brewingが普段使用しているベルジャンイースト(ベルギー系酵母)をブレンドしています。ベルジャンイースト由来のスパイシーなニュアンスがIPAにアクセントとして加わりました。
Far Yeast Brewingの柳井さんとレシピを作り上げていく中で、コラボビールに着手するまでの2年間という時間は、その間に得た色々な知見や、やりたいことが輪郭を持つようになったという意味では、かえって必要な時間であったのではないかと思っています。
クラフトビールのトレンドは目まぐるしく移ろっていきます。そんな中で、ブルワーが感じている「今」、そして、それぞれの醸造所の「特徴」を今回のビールに込めることができたのではないでしょうか。
そして、もうひとつ。
Far Yeast BrewingからリリースされたSILK ROAD、そして今回、奈良醸造からリリースするCROSS ROAD、缶ラベルのデザインはどちらもbutter久保元気さんに手がけていただきました。ラベルも連環する世界観が表現されたものになっており、両方手に取っていただけたら嬉しいです。