ALE & BOOKS 「ビールと読書」
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今回、奈良醸造のデザインを手掛けてくださっている
butter 久保元気さん
に寄稿いただきました。
奈良醸造では、ビールグラスや、いつものビールについているデザインなどを担当させていただいるbutterのデザイナー久保元気です。
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僕のFUTURA(フーツラ)を片手に読むのにオススメの一冊は、昨年、2020年に出版された「SF映画のタイポグラフィとデザイン」です。
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タイポグラフィというのは、文字やフォント(書体)を使ったデザインのことをいいます。
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この本は、映画「2001年宇宙の旅」や「スタートレック」「ウォーリー」など、いろいろなSF映画の中に出てくるフォント(書体)を分析されたちょっとユニークなデザインブックです。
こんなマニアックな視点のデザイン本、僕は、他に知りません。
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映画内で、一瞬だけ映るクールな操縦モニターの画面や、未来の世界としてちらっと映る広告の看板、映画のオープニングで表示されるモノローグなどなど、さまざまなSF映画文字をデザインオタク的に触れて、その秘密を解き明かしていきます。しまいには、未知のエイリアンが使っている「存在しないフォント」のデザインまで、どうしてそのエイリアンがこんな文字を使用しているかまで触れていったりと、映画本としてもデザイン本としても、面白く、いかにしてタイポグラフィとデザインが映画の中の近未来的な世界を表現しえたのか、たっぷりと紹介されています。
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今回のジャーマンエール・FUTURA(フーツラ)という名前は、読書にぴったりなビールとして文字に対する愛情をこめて、フォント(書体)のネーミングからとられています。
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まったくの偶然ですが、このフォント・FUTURAも本書の中で「SFの世界」を演出する、「ポピュラーなSFの世界っぽいフォント」として登場しています。ちなみに、FUTURAは、僕たちの日常でいうとルイ・ヴィトンやフォルクスワーゲンのロゴや、ドミノピザのロゴなどでも使用されていて、高級感やPOPさから、本書で触れるSFらしさまで表現できるフォントなのです。
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ビールを問わず、休日、お酒を飲みながらの読書は、僕も自身も普段から好きなことの1つです。
本の話も、ビールの話も、大好きです。
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「SF映画のタイポグラフィとデザイン」
著者/デイヴ・アディ=著|マット・ゾラー・サイツ=序文
出版/フィルムアート社
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butter / 久保元気
https://www.instagram.com/genki_ku/
butterは、ぐるぐる回っているうちに、何だか溶け合って、最後はお腹がいっぱいになる、そんな体験を作るお手伝いをするデザインプロジェクトです。
食べるものや飲むもの、植物などを中心に、単一的でなく、ブランディングから、パッケージ、グラフィックデザイン、スチール撮影などをトータルで提案し、沢山の人を巻き込んで実行します。
ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。