奈良醸造は、この7月でファーストバッチのリリースから8周年を迎えることができました。この節目に、あらためて私たちが大切にしてきたこと、そしてここに至るまでの歩みを、数回に分けてお届けしています。
奈良醸造が誕生したときのこと、そして目標とお話してきましたが、今回はファーストバッチ「PUBLIC PRESSURE」を仕込んだときのことを醸造長・浪岡が思い返します。
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奈良醸造を始めるにあたって最初の第一歩となるビールは何にするのか?
これはとても重要なテーマでした。造りたいビールはたくさんある。その中でどんな順番で造っていけばいいのだろう。初めて使う仕込み設備で癖もつかめていないだけに、どんなビールに出来上がるかわからない…そもそも、ちゃんとできるんだろうか。
計画は遅れに遅れて、「いつできるんですか?」そんな問い合わせをもらうたびに胃が痛くなる毎日。そんな中、どうしても造りたいと思って温めていたレシピがあって、最初にそれをぶつけることにしたのが、American IPA。なかでもWest Coast IPA。時は折しもHazyブームの波が日本にも到達したところだったけど、自分が衝撃を受けた味を自分の醸造所で自分なりのアレンジも加えて再現したいと思って書いたレシピでした。
使うホップMosaicとGalaxy、Simcoe。グレープフルーツを思わせる柑橘の味わいにトロピカルフルーツの香りを重ねて、飲むたびに新しい発見があるようなそんなIPA。
免許の申請から10か月経ってようやく醸造免許が下りました。免許交付にあたって、大安にしますか?と税務署から聞かれたのは新鮮でした。験担ぎで大安に免許交付を調整する酒蔵が多いらしいのですが、一日も早くビールを仕込みたかったのと、験担ぎを意識しだすとフットワークが重くなりそうな気がしたので、一番早くに受領できる日でお願いをしました。
仕込み当日の様子は奇跡的なタイミングで雑誌の取材をいただきながらの仕込みとなりました。もともと、初仕込みは取材しますね!とご連絡をいただいたのですが、遅々として免許が下りず、実際に仕込んだ日は原稿締め切りの数日前だったとか。内外様々なプレッシャーを感じながら、ようやく仕込んだビールの麦汁をチェックして狙い通りに甘い味がしたとき、思いがけず泣いてしまったのですが、取材いただいた雑誌にはその涙ごときっちりと写真に収まっています。
当時、迂闊にも100℃の麦汁が中を走っている配管に腕を押し付けてしまってできてしまった火傷の傷を探してみたのですが、いつの間にか治っていたことに最近になって気が付きました。
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ちなみに毎回周年の月には、このファーストバッチのレシピをベースにビールを仕込んでいます。2026年の周年ビールも、いよいよリリースです。








