初夏の陽気にぴったりなWheat IPA「LINE(ライン)」。小麦とオーツ麦が生み出すシルキーな飲み心地と、奈良醸造では初となるHBC472ホップを使用した香りの掛け合わせが楽しめるビールです。このビールのレシピを手がけたのは、ブルワーの小川。今回のビールについて、開発の背景や醸造のこだわりを聞きました。
——今回レシピを造るにあたって、ヘッドブルワーの浪岡からIPAというお題がありましたが、なぜウィートIPAにしようと思ったのですか?
小川:HBC472という、ココナッツやバニラ、オーク樽といったウッディで独特な香りを持つホップを使用してみたかったんです。このHBC472は香りに丸みがあるので、それに合わせて口当たりなめらかなビールにしたいと思い、小麦とオーツ麦を全体の50%に使用することにしました。
——醸造にあたり工夫したポイントはありますか?
小川:使用するホップの量やモルト構成、イーストの選定、さまざまな面でドリンカビリティを重視したことです。ボディは軽やかで苦味控えめ、ホップイーストの香りも主張しすぎないように仕上げました。
またHBC472だけでなく、いくつかの柑橘系の香りを持つホップをブレンドすることで、よりバランスの取れた香りになるように設計しています。最初はオレンジのような柑橘の香り。温度が上がるにつれ、ココナッツやバニラのような香りが豊かに広がるような構成です。
また、あえてビールに少々の濁りを残すことで、より滑らかな質感を追求しました。
——実際に完成したLINEを飲んでみていかがでしたか?
小川:しっかりHBC472の特徴を感じられるものの、決してくどすぎず、非常にドリンカビリティの高いイメージ通りのビールになりました。香りの印象はきちんとありつつ、飲み口は軽やか。後味にはすっきりとした爽快感が続きます。
——どんな場面で、どんな食事と合わせて飲んでもらいたいですか?
小川:飲み飽きしない軽やかなビールなので、暑い日中にゴクゴク飲むのにも、夕暮れどきにゆったりと味わうのにもぴったりだと思います。温度変化によって香りの変化も楽しめるので、仲間と一緒に会話を楽しみながら飲んでいただくのも良いかなと。
食事では、アジア系の料理や、少しスパイスの効いた料理との相性が良いと思います。柔らかなマウスフィールが、辛味や香辛料の刺激を和らげてくれるはずです。また、BBQや夏野菜を使った料理など、初夏の季節感を楽しめる料理とも相性が良いと思います。

LINEは、2025年に奈良醸造のブルワーたちが手がけるIPAシリーズの第2弾。ヘッドブルワー・浪岡がレシピを書いた「DOT」に続き、ブルワー・小川がレシピを書いています。今後もブルワーそれぞれの個性を活かしたIPAが続く予定です。
現在、全国の酒販店・飲食店、奈良醸造のオンラインストアで販売中です。初夏の季節に寄り添うシルキーな舌あたりと、複雑な香りの変化をぜひお楽しみください。