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#ビールを選ぶ楽しみを をモットーにしている奈良醸造では、ラベルデザインも一緒に楽しんで欲しいと思っています。今回は、読書に合うビールとして造られたドルトムンダー「BIFUR」の話。毎年、読書と本のペアリングを提案している「ALE&BOOKS&CIDER」企画のビールです。デザインしていただいた、butter 久保元気さんのコメントをご紹介します。
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読書に合うビールこと、「ALE&BOOKS&CIDER(ABC)」企画のビール「BIFUR」。読書にあうビールでは毎回、文字と言葉に敬意を払ってフォント(書体)の名前と、そのフォントを使ったタイポグラフィーをデザインに採用しています。
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Futuraからはじまり、僕と同じような仕事の人には比較的馴染み深い書体を選んでいるのですが、今年はBifur(ビフュール)というフォントを選びました。
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理由はシンプル、本当に好きなのです、この文字が。
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この書体は、毎年選んできたフォントと比べたらそれほど一般的ではないかもしれません。美しい字形を生み出したのは、アドルフ・ムーロン・カッサンドル(Adolphe Mouron Cassandre、1901 – 1968) という美術家であり、デザイナーです。
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カッサンドルで有名なところというと、昨年東京でも大きな展示があったイブ・サンローランのあのアイコニックなロゴデザインの仕事でしょうか。
他にもシンメトリックなノルマンディー号のポスターや、北急行(Nord Express)の力強いポスターなどデザインが好きな方にはおなじみにの名作をたくさん手掛けています。
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Bifurは、私の最も好みの書体で、今でこそとても評価されています。ですが、彼がこの字形を生み出したときには賛否が巻き起こり、決して商業的には成功とは言えなかったそうです。一見、とてもモダンでアヴァンギャルドな文字設計は、飾り立てるような美しさも感じますがカッサンドルはそういう思いでデザインしたわけではないそうです。
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文字を、最も単純な表現にまで縮小し、他の文字と区別するのに不必要なものを徹底的に取り除く。
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遠くからも、短い単語でも、小さくも大きくも、力強く読むことができる文字を目指す。
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結果、生み出された細い線とベタッとした塗面で複雑に構成されたBIfurは、そのシンプルな思想に逆らうように印刷業者や鋳造家泣かせで(当時は活版のため、文字づくりには鋳造がかかせなかった)、変形したり、ちょっと違うBIfurもたくさん作られたそうです。面白い。
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カッサンドルで調べてたら、彼の描いた美しいものが他にもたくさんでてきますので、本だけでなく、ぜひ酒の肴にでもしてください。
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みなさんも年末年始、ゆっくりと読書とビール、楽しんでみてはいかがでしょうか?ぜひ「#のみものとよみもの」のハッシュタグをつけておすすめのペアリングを教えてください!
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