ALE & BOOKS & CIDER ー ビールと本のペアリング
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読書に合うビールを提案する「ALE&BOOKS&CIDER」企画。奈良醸造の「BIFUR」に合うおすすめの本を提案しています。今回は、奈良醸造のアシスタントブルワー・小川の選書です。年末年始、ゆっくりと読書とビールを楽しむのはいかがでしょうか?まだまだ、「#のみものとよみもの」のハッシュタグで、ビールに合う本を募集中です!
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『陽気なギャングが地球を回す』
著者:伊坂幸太郎
出版:祥伝社
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本を読むこととお酒を飲むこと。どちらも趣味のひとつだが、なかなかどうしてこれが同時にできない。昔から本を読み始めるとあらゆることを後回しにする子供で、夢中でページをめくり夜更かししては怒られていた。大人になり、お酒大好き人間になってもどっぷり活字に浸かる癖は変わらず、気付けばいつもビールがぬるくなっている。
今回紹介する「陽気なギャングが地球を回す」は、四人の銀行強盗が主人公の群像劇作品。嘘を見破る成瀬、スリの天才久遠、演説家の響野、精確な体内時計を持つ雪子、という奇妙な能力を持つ面々だ。
一見物騒にも思えるが、小気味よいテンポの軽妙洒脱なコメディで、登場人物たちの掛け合いと鮮やかな伏線回収がたまらない。伊坂ワールド全開で、同著・ラッシュライフとともに大好きな一冊である。
ちょっとしたスリルと時折飛び出してくる名言を楽しんでいると、いつの間にか物語は終わりを迎えている。少し寂しくもなるのだけれど、余韻を噛みしめながら飲むぬるくなったビールは、なんだかいつもよりおいしい気がする。
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Selected by 小川 実咲(Misaki Ogawa)|奈良醸造
おいしい液体が好き。最近嬉しかったのは30歳になる前に47都道府県行けたこと。