ALE & BOOKS & CIDER ー ビールと本のペアリング
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読書に合うビールを提案する「ALE&BOOKS&CIDER」企画。奈良醸造の新作「BIFUR(ビフュール)」を飲みながら読みたい本を様々な方にを選書いただきました。今回は、Age FactoryやDROP CLOCKといった奈良出身のバンドでドラムを叩く増子さんの選書。忙しいツアーの合間のひとときに、ビール片手に読みたい本を選書いただきました。ぜひみなさんも、「#のみものとよみもの」のハッシュタグで、ビールに合う本を教えてください!
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『カキフライが無いなら来なかった』
著者:せきしろ、又吉直樹
出版:幻冬舎
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一人で酒を飲みながら本を読むことはたまにある。僕の場合は大体、一日予定がない日の昼間に本を持って出かけ、ダラダラと昼間から飲酒し、公園や喫茶店やファミレスなんかを移動しながら本を読む。日が暮れてくると大体人と飲みたくなり、そのまま居酒屋へ繰り出す。飲みに行くときに荷物を持ちたくないので、尻のポケットに読んでいた文庫本を入れて手ぶらで居酒屋へ行く。気がつけば朝まで飲み、グデグデになりながらなんとか家まで帰る。ポケットに文庫本が入っていることを忘れてそのままズボンを洗濯してしまったこともある。情けなさと絶望的二日酔いのまま昼間の入り時間にライブハウスへ向かう、みたいな日がたまにある。
今回紹介する本は偶然洗濯を間逃れてきた一冊である。
この本はせきしろと又吉直樹による自由律俳句とエッセイ集で、日常の些細なことや些細すぎてどうでもいいこと、少し感傷的なことなど、二人が生きていく中で感じ取ったものを自由律俳句という形で書き起こしたものである。
今回このような企画のお話を頂いて、酒を飲んでいるときに読みたくなる本を自分なりに考えてみると、この本がすぐに浮かんだ。詩集のような感じなので、一文一文で完結している形がちょうどよかったし、くすりとしてしまうようなユーモアもあるので、少し酔っていても読めてしまうラフさもある。クラフトビールを何本か飲みながら改めて読み返すと、酔っ払っていたのもあり、自分も自由律俳句というものをやってみよう!という気持ちになった。本を閉じて昔の出来事なんかを思い出し、スマホのメモ書きにいくつか書いてみた。翌日、シラフでそれらの句を見て非常に恥ずかしくなったが、なんとなく続けてみようと思った。シラフでもう一度この本を読んでいたら自分も書いてみよう!とは思わなかったかもしれない。
一人で酒を飲んでいると普段なら気にも留めないようなことに思考を巡らせたりすることがある。今回このような企画に誘ってもらい、新しいことを始めることができた。何の役にも立たないかもしれないが、飽きるまで続けてみようと思う。サンキュー奈良醸造。
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Selected by 増子央人(Nakato Mashiko)|ドラマー
奈良在住。Age Factory、AFJB、DROP CLOCKのドラマー。
BLOG https://shiromachi15.hatenablog.com/
X @msknkt_dr / Instagram @msknkt_dr_agefactory
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