ALE & BOOKS & CIDER ー ビールと本のペアリング
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読書に合うビールを提案する「ALE&BOOKS&CIDER」企画。奈良醸造の新作「BIFUR(ビフュール)」を飲みながら読みたい本を様々な方にを選書いただきました。今回は、以前「DEEP BREATH」の際にコラボレーションした、イラストレーターの三嶋さつきさんに選書いただきました。ぜひみなさんも、「#のみものとよみもの」のハッシュタグで、ビールに合う本を教えてください!
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『高山ふとんシネマ』
著者:高山なおみ
出版:幻冬舎
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長かった夏が終わって、一気に肌寒くなってきた今日このごろ。
あったかい毛布が恋しくなる季節がやってきました。
この時期になると、いつの間にか積まれた本や映画のDVDをひっぱり出してきて観てみたり、お気に入りの音楽を聴きながら踊ってみたりしたくなる(決してお見せはできませんが)。そんなとき、そばにはいつも大体ビールがあります。ほろ酔いなので、本や映画の世界のなかにいつも以上にどっぷりと浸かって、ふと寝てしまったりして、夢の中でもその世界にいることもあったりなかったり。お酒が入ると、じぶんの外側と世界との境目が溶けだして曖昧になる気がします。画面や紙を媒介して、においが漂ってくるような気がするし、おなかがすくし、涙がいっぱい出ます。
この本はそんなわたしの自由な夜長にとって、ひとつのみちしるべになるような、高山なおみさんと一緒に時間をすごしているような、はたまた、お布団のようにあたたかい存在として、長いあいだ傍にあるエッセイです。高山さんの感性で捉えられた作品たちはとっても魅力的に見えるから、今度はどの作品を観てみようかとたのしみがふえるし、映画やドラマの中に出てくる料理のレシピを高山さん目線で解説してくれているので、想像してみておなかがすくのも良いし、作ってみるのも良い。料理家である高山さんならではです。
作品と高山さんの暮らしとが繋がったり離れたりして、日々が過ぎていく。そんな暮らしぶりを本を通して見て、20代前半のわたしはたくさん影響を受けたように思います。くんくんと、愛犬のポップコーンみたいな香ばしいおなかの匂いを間近で嗅ぐような気持ちで、すきな作品を何度も何度も噛み締める癖がついたのは、高山さんのおかげ。
さて、このビールと本を片手に、今夜はどの世界に溶け出してみようかな。
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Selected by 三嶋さつき(Satsuki Mishima)|絵描き、イラストレーター
鎌倉のはじっこで絵を描いたりして暮らしています。
11月23日より岐阜で個展を開催予定。詳細はInstagramアカウントより。
Instagram :@satsukim12
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