ALE & BOOKS 「ビールと読書」
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9冊目は、Bluem Coffee・佐藤さんの一冊。佐藤さんは、カフェ&ギャラリースペース YEAST で間借り営業をするなかで、その日に合わせておすすめの本を選書されています☕
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『一日の終わりの詩集』
出版社 / 角川春樹事務所
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仕事でじんわりと疲労がたまった身体に流し込みたいのは、香りが豊かな軽すぎず、飲み疲れするような重さもないその液体。
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缶からそのまま流し込むのも、もちろん好きなのだけれど自分への労りの意味も込めてグラスに注いでみることにします。 寝る前に本を読むことが日課のわたしは、その日の気分に合わせて選書をするけれど、今日はこのビールに合わせた本を手に取りました。
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長田弘さんの『一日の終わりの詩集』は持っている詩集の中でもダントツに好きなもので、開くたびに目に飛び込む文字や意味の捉え方が変わる、私にとっては心のバロメーターのような詩集です。
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著者の長田弘さんはあとがきにこう記しています。
「瞬間でもない、永劫でもない、過去でもない、一日がひとの人生をきざむもっとも大切な時の単位だ」。
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忙しなく生きる私たちは一日を大切に過ごしたいと願いながらも、気がついたら一日が経ち、一週間が風のように過ぎ去っているなんてことが常々起こっているのではないでしょうか。 時間という濁流に揉まれながらも、その過ぎた一日を振り返り、来たる一日に思いを馳せる、それがひとの歩みなのだとこの詩集は気がつかせてくれます。 その歩みのなかで得た、喜びも哀しみも、見慣れた風景の中で突然訪れた美しい瞬間も、誰かを傷つけてしまったことの冷たささえ、その一日のたしかなものとして包み込んでくれます。
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ゆっくりと詩集を読んでいると時間はあっという間にとけていきますが、少しぬるくなったこのビール『Garamond』も甘さが際立ってより一層美味しくなっていました。 . 何世紀にもわたって人々が大切にしてきた字体の『Garamond』から名付けられたビールと、これからも人々の一日を静かに在るということで肯定してくれる詩集。
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なかなかに良いペアリングでした。
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Selected by 佐藤 玲奈(Reina Sato)| バリスタ
都内でバリスタをしながら、個人のブランドBluem Coffee( @bluem_coffee ) を立ち上げ、焙煎から抽出まで行う。
コーヒーとお酒と本をこよなくあいしています。
カフェ&ギャラリースペース YEAST ( @yeast_jp )にて31日15:00-26:00 年越し営業を実施予定。 Garamondも販売します!
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。
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このあとも様々な方から選書いただきます。どうぞお楽しみに!
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