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MACGUFFIN(マクガフィン)とは、小説や映画に出てくる、物語をすすめるキーアイテムやキーパーソンのこと。中身はなにかわからない、誰も知らない、でも重要なもの。奈良醸造では「誰も知らない、でも奈良醸造を先に進めるビール」になることを願って毎年味わいの異なる「MACGUFFIN」をリリースしています。
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2024年のMACGUFFINは、りんごとシナモンを使った、Smoked Graff(スモークドグラフ)。あまり聞き馴染みのないこの Graff (グラフ)とは、一般的にビールとりんごを併せた、ハイブリッドなビアスタイルのこと。
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この Graff はもともと、『ダーク・タワー』という小説に出てくる架空のお酒の名前でした。
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その小説を書いたのは、アメリカの作家、スティーブン・キング。『シャイニング』や『スタンド・バイ・ミー』の原作者としても有名なホラーやサスペンスの旗手です。彼が書いた『ダーク・タワー』シリーズのあるシーンで、Graff は登場します。
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そこでは、 “(中略)this is graf – strong apple-beer.” と表記されており、水晶のように輝く濃い金色で、甘酸っぱい飲み物だと書かれています。気になる方は是非、『ダーク・タワー』を読んでみてください。
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ホームブルワー達がそんな架空のお酒 「graf」 の再現を試みたことが、このスタイルの始まりであると言われています。過去に出た海外のGraffと名乗るビールを見ると、ペールエールからラガー、スタウトまで、様々なスタイルを組み合わせたGraffが造られているようです。いまもGraffの正確な定義はあいまいなまま、世界のブルワーたちがその味について探求しています。
今回奈良醸造からリリースした「MACGUFFIN」では、りんごに加えて燻製麦芽を使用しています。これは、過去に飲んだカクテルのレシピからもインスピレーションを受けたもの。そこにシナモンのスパイシーさが加わって、まるでアップルパイのような味わいに仕上がりました。
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誰も知らない、でも重要なものである「MACGUFFIN」。みんなが探し求めるGraffというお酒もまた、一種の「MACGUFFIN」といえるのかもしれません。