奈良醸造では「#ビールを選ぶ楽しみを」という想いで、これまで100種類を超えるビールを造ってきました。ビアスタイルを選ぶようにアルコール度数も選びながら、ビールを楽しんでいただければと思っています。
今回リリースした「MICROCOSMOS(ミクロコスモス)」は、アルコール度数3.5%の、マイクロIPA。2020年にリリースした際には樽のみでしたが、今回は350ml缶も加わり、より様々な場所で飲みやすくなりました。
様々なビールがある中、そんな選択肢のひとつとして、奈良醸造が継続して低アルコールのビールを造り続けている理由は、飲む人がそのときの気分や体調に合わせて、色んなビールを味わって欲しいから。最近は、CMなどの影響もあってか、微アルコールやノンアルコールビールは、一般的なものになってきました。実は、漫画『琥珀の夢で酔いましょう』の4巻でも、奈良醸造の低アルコールの想いについて、2020年に取り上げていただいています(ぜひ、見つけたら読んでみてください!)
アルコール度数の低いビールを造るだけであれば、ビールの原料となる麦芽(モルト)の使用量を減らせばよいのですが、そのぶん、飲み口が軽くなり、物足りなさを感じてしまいがちです。この物足りなさを補うにはどうすればよいのか、さまざまなブルワリーが、思考を凝らして低アルコールなビールを造っています。
今回の「MICROCOSMOS」では、通常のIPAと醸造方法を見直すことで、麦芽(モルト)の使用量はこれまでのIPAと大きく変えずに、アルコール度数だけを大きく下げることに挑戦しました。
ちょっと専門的な話になりますが、IPAのレシピ設計にあたっては、出来上がるビールのイメージからホップの種類と使用量を決めます。ついで、ホップの苦味、味わいとのバランスを考えて、どれぐらいの麦芽の風味がバランスがよいかを考えながら麦芽の使用量を決定し、それに伴ってアルコール度数が決まる、というのが大まかなレシピ設計の流れになります。
ビールのアルコールは、麦汁中の糖分を酵母が食べてアルコールに変換されることによって生み出されます。麦芽の使用量が多ければ糖度の高い麦汁が取れ、結果として度数の高いビールが出来上がるわけです。
しかし一方で、麦芽や酵母のなかには、糖分をアルコールに変換する動きが弱いものもあります。「MICROCOSMOS」では、レシピ設計にあたって、使う麦芽と酵母の掛け合わせをより弱いものにしながら、最適な味わいが生み出せるように考慮しました。結果として、アルコール度数は軽いながらも、しっかりと麦芽の風味もホップの香りを感じていただけるIPAに仕上げることができました。
これ一杯をゆっくり楽しむもよし、まずは景気づけの一杯!にして、他のビールを楽しむもよし。シーンやその時どきの気持ちにあわせて、選べることもクラフトビールの楽しさだと思っています。その選択肢のひとつに、低アルコールのビールも入れていただけると、よりその楽しさが深まるのではないでしょうか。
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