「ビールを選ぶ楽しみを!」 をモットーにしている奈良醸造。今回は奈良醸造の8周年を記念する「CAMOUFLAGE」のデザインの話。Hazy IPAながら、奈良醸造らしく杯を重ねたくなる軽やかな味わいに仕上げました。デザインしていただいたbutter 久保元気さん @genki_ku のコメントをご紹介します。
.

CAMOUFLAGEの話
奈良醸造が醸造をはじめて8年をことほぐHazy IPA、CAMOUFLAGE(カモフラージュ)。いわゆるこの周年ビールは初リリースビールのPUBLIC PRESSERをモチーフに、現在地点の奈良醸造のIPAを作るというテーマになっています。
誤解を恐れず、また先輩方のお叱りはあるかもしれませんが言うと、奈良醸造が醸造を始めた8年前は、国内のクラフトビールはいまのように、アートワークがそれほど重視されていませんでした。
海外のブルワリー、特にアメリカでは、醸造所それぞれにアートワークやデザイン設計をするカンパニーがつき、ボトルラベルを見ると(当時はまだまだボトルが主流だった)、その醸造所らしさが自然と見て取れるといった感じで、ビールの味わいの多彩さと奥行きと同じくらい、パッケージデザインの鮮烈さにやられた人間も多かったと思います。
それと比べると日本酒などのカルチャーの影響が国内市場は大きく、銘柄やブルワリーのロゴがどん!とセンタリングされたパッケージが主流でした。というか、樽生でのビール提供が中心で、パッケージはまだまだサブのような存在だったという方が正しいでしょう。
なので、商品の思想を表すようなかっこよくてちょっとユーモアが効いた名前のビールはあれど、それと視覚的なメッセージが重なり合うようなことはまだまだ少なかったと思います。とはいえ、近い未来に海外のように多彩なブランドメッセージがデザインとともに眺めて取れるビールの世界が来るのは間違いないと感じていました。
また、奈良醸造が始まった8年前の時点で、ビールはすでに大戦国時代。人気の醸造所が丁々発止で奪い合う街の人気ビールパブのタップのなかにどうやって滑り込み、新しい作り手であるかを知ってもらうのは至難でした。
ビールをビールの色や味以外で思い出にしてもらう、そしてどんな気持ちやアイデアがビールづくりにあったのかを通して奈良醸造を知ってもらう方法として、それぞれのビールに合わせた世界観を絵にしてみせようということになりました。これは、まだ、瓶詰めも缶詰めもしていない頃なので、ケグのためにパッケージをつけようという当時では考えられないようなアイデアだったというのは、自負しています。いずれみんながやり始める予感が前にあり、どうしても1番先にやったと自信をもって言えるようにやりたかった!
実際、たくさんの人に無駄なことをしていると指さされました。お前のやっていることは無駄だから、そんなことはやめて1円でもビール販売価格を下げろとブルワリーにお前から言ってよ、と言われたこともあります。今では考えられないでしょ?
逆に、応援してくれる先輩がいたことも、励みになりました。楽しんで飲んでくれる人のいいよ!もっとやれよ!という声は、夜更けにひとりでどんなビールなのかを悩みつつ作る孤独さを和らげる、心の支えになりました。本当にとても、感謝しています。
さて、そんなことを振り返りつつ、今回このタイミングで、浪岡さんにCAMOUFLAGEという名前をお題としてもらったとき、いまならその時の心持ちの逆のことにもチャレンジできるなと思いました。
嬉しいことに、奈良醸造のアートワークを褒めてくださることもとても増え、奈良醸造のキャラクターとして捉えてくださる方が多くなりました。同時に、周りを見渡すと僕らより若いプレイヤーが、自分たちのビールをどう飲んでもらうか?見てもらうかをとても繊細かつ大胆に見つめて、ビールづくりに取り組んでいて、一緒に店の冷蔵庫に並んでいます。
なので、今回のCAMOUFLAGEには、思い切って、アートワークもなければ、奈良醸造のロゴも描かないことにしました。あれ?缶に描いてないっけ?と思った人はよく見てください。缶に描かれているのは、「奈良醸造のロゴ」ではありません。
ただ、これまで8年間の間に関わって、奈良醸造のビールを飲んでくれてきた一緒に時間を過ごした人が見ると、奈良醸造のロゴが何故か見えるようになっています。
何者かに僕たちがなれたのかは、まだわかりませんが、何者でもない、そんなブルワリーのビールらしさを表現できているのではないかと思ってます。
9年目もよろしくお願いします。








