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「ビールを選ぶ楽しみを!」 をモットーにしている奈良醸造。今回はオクトーバーフェスト「KABEL」のデザインの話。「KABEL」は、毎年読書に合うビールをテーマに醸造されました。デザインしていただいたbutter 久保元気さん @genki_ku のコメントをご紹介します。
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奈良醸造が、毎年ABC (Ale&Books&Cider)にあわせて読書のお供におすすめのビールを作るとき、文字に敬意を払う意味を込めてフォント(書体、字形)の名前をつけ、その文字を使ってラベルをデザインしています。
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2025年、選んだKabel(カベル)というフォントは昨年のBifur(ビフュール)と同じく、ちょっとマニアックなフォントかもしれません。
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「Kabel(ドイツ語でケーブル)」という名前は、1926年に開通した大西洋横断電話ケーブルにちなんで名付けられました。名前の通り、ピンと縦に伸びた同じ太さのケーブルのような線が特徴的で、その個性的なかたちゆえに、とっても現代パソコン的な使い勝手が悪い、癖たっぷりの文字です。
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kabelは、今年のビールのビアスタイルOktoberfestと同じくドイツ生まれ。このフォントをデザインしたルドルフ・コッホは、ドイツの伝統、工芸精神を大切にしており、単に机に座って文字をデザインする人ではなく、「文字の彫刻家」とも言うべき人でした。古いドイツの彫刻的な文字(ブラックレター)に敬意を払い、文字を彫り、それまでの歴史を背負ってデザインをしてきました。
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ときは、ナチス・ドイツが台頭する頃、このフォントと同じ年に世界で一番有名な「工業的で幾何学的なデザイン」のフォントが同じドイツで誕生します。それがFutura(フーツラ)、このABCの読書にあうビールというテーマで2021年に作られた初めてのビールで使われたフォントです。
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バウハウスの幾何学的で工業的な美意識をもって、コンパスと定規で綿密に設計されたFutura。それに対して、彫刻的で、伝統的、人間に根ざしたデザインと時代がぶつかって生れたKabel。2つのフォントはまるで背中合わせの兄弟のように僕は感じています。
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今も世界的な標準フォントなFuturaに対して、このちょっと使いづらい伝統の色が見え隠れするフォントが大好きです。
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Oktoberfestはちょっと人間臭く、古典的で飲み飽きないこのビール。ぴったりなフォントだと思います。読書のお供としてお楽しみください。
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余談ですが、コッホが愛したドイツの伝統的な彫刻文字ブラックレターは、彼の死後、ナチスドイツに「ユダヤ的な文字だ!」という理不尽な理由で禁止され、コッホが否定的な立場を取っていたアンティカ体に彼の意志に反し、その位置を奪われたのでした。ひどいね。

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