ALE & BOOKS 「ビールと読書」
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8冊目は、YouTubeやPodcast番組で「ゆる言語学ラジオ」のスピーカーを務め、クラフトビール好きとしても知られる水野さんからの選書です。
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『新明解国語辞典 第八版』
出版社 / 三省堂
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辞書を1日2ページ、ビールを飲みながら読む。そんな日課を始めて1年が経った。同じ趣味を持つ人と会ったことはほとんどないが、なかなか悪くないのでその同志をひとりでも増やしたいと思う。
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今読んでいるのは『新明解国語辞典 第八版』(三省堂)だ。これは語釈のユニークさで有名な辞書で、最新版でもそのエッジは健在である(昔に比べればかなり穏当になったのだが)。
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私の好きな語釈は【命(いのち)】だ。もし子どもに「いのちってどういう意味?」と問われたらどう説明するだろうか。
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新明解にお伺いを立ててみると、「生物が生きている限り持続している肉体や精神の活動を支える根源の包括的な呼称」とある。説明こそしかつめらしいが、言わんとすることは十分に分かる。ところがその後にわざわざカッコ書きで「一瞬一瞬生きることの繰返しとしてとらえられる緊張の持続であ」るとある。
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ビールに酔いながら緊張を持続させずに読んでると、ページの隅にこうしたパンチラインが飛んでくるから油断できない。ボキャブラリーを増強するためだけではなく、身近すぎて考えたことのないことばの意味をとらえなおすいい機会になるのも、辞書読みのひとつの愉楽である。こんな酔狂の相方には、ちびちびと飲めるモルティーなエールがふさわしいはずだ。
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Selected by 水野 太貴(Daiki Mizuno)| ゆる言語学ラジオ
1995年生まれ、愛知県出身。YouTube、Podcast番組「ゆる言語学ラジオ」でスピーカーを務め、ことばの面白さを発信。チャンネル登録者は22万人超。著書に『言語沼』(堀元見との共著、バリューブックス・パブリッシング)がある。本業は雑誌編集者。
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。
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このあとも様々な方から選書いただきます。どうぞお楽しみに!
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