ALE & BOOKS 「ビールと読書」
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奈良醸造でビールを造っている浪岡です。
去年に引き続き今年もやりますAle & Books。ビールを片手に読書という、こころがほどけていくときに読みたい本を紹介したいと思います。
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【ゲーム音楽史】
ビデオゲームの歴史がいつ幕を開けたのかについては、人によってさまざまでしょうが1972年にアメリカのアタリ社からリリースされた”PONG”が一般に広く知れ渡った最初のビデオゲームであることに異を唱える人はいないでしょう。仮にそこから数えて今年で50年。ビデオゲームには振り返るに足るだけの歴史と、そして様々な角度から論じるだけの文化の蓄積が存在しています。
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こちらの本はゲームの音楽、BGMについて、ファミリーコンピューターの時代から、それぞれの時代のハードウェアが持つ特徴(それは主には制約だったりするのですが)を踏まえて平易に、かつ専門的に解説した本です。
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これまで、ある特定のコンポーザーやゲームタイトルに特化した論述はありましたが、ゲーム音楽を縦の時間軸に沿って通史として書かれたことが、この本の画期的なところではないでしょうか。
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特にファミリーコンピューター時代はハードウェアの能力が今に比べて貧弱であり、同時に使える音数もたったの3つと限られていました。このストイックさの中で成立したのがいわゆるピコピコ音楽とも言われるものです。音楽にかぎらず制約があることは時として表現の幅を狭めてしまうものですが、制約の中でこそ成立する表現があることもたしかで、それでもたしかに僕たちの心を打つものが時間を越えて残っています。
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そんな中、スーパーマリオブラザーズ「以前」「以後」という分類が提示されていることは興味深く、全世界で4000万本以上の売上を記録した文字通り歴史に残るこのソフトはゲームデザインのみならず、音楽の面でもこれ以降のゲーム音楽に対して不可逆的な影響を与えたことを改めて思い知ります。
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この本を読みながら、音楽を聴きながら、ビールを飲む。
そんな贅沢な時間に身を委ねるのもいいのではないでしょうか。
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そして、ふと。
日本で地ビールが解禁されてから30年弱。日本の地ビール・クラフトビールを様々な切り口で通史的に歴史を紡ぐ人がこれから出てくればいいな、と思うのです。
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「ゲーム音楽史」
著者/岩﨑祐之助
出版/リットーミュージック
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ALE & BOOKS 「ビールと読書」とは:
ビールを飲みながらどんな本を読みたいか、いわばビールとフードのペアリングならぬ、ビールと本のペアリングをお伝えできたら面白いのではないか、という提案です。奈良醸造がビールと一緒に読みたい本を紹介したり、どんな本を好きなのか、気になる方々のオススメなどを紹介していきます。