激動の1年だった。と、締めくくるには何もかもが現在進行系なのですが、なんとか2020年という年を走り切ることができそうです。
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年の瀬になり思うことは、このような状況下においても、たくさんの方にビールを飲んでいただいたおかげで、奈良醸造はこの一年、ビールを造り続けることが出来たということ。
まずは、全国のバー・レストランの皆様、酒販店の皆様、そして、ビールを飲んでくださったすべての皆様に心より感謝申し上げます。
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今年のはじめが遠く霞んでしまうぐらいに前のことのように感じられますが、少しだけ、この1年を振り返ってみることにします。
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イベント。
1月、横浜で行われたJapan Brewers Cup 2020では当初落選したものの、ファン投票の結果、復活枠としてイベントに参加することができました。地元奈良からは「横浜に行ってこい!」と背中を押していただき、初となる関東エリアでの出店で「奈良醸造のビールを飲みたい!」と思ってくださる方にたくさんお会いでき、ビールを注いでいて、しみじみと嬉しかったことを思い出します。残念ながら、今年のビールイベントはこれが最初で最後となってしまいました。
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缶ビール。
もともとは、7月の奈良醸造2周年にあわせて缶ビールを作りたいと思い、年明け早々から準備をはじめていました。そこに、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言。これまでそのほとんどを業務用の樽生ビールで出荷していた奈良醸造にとっては、せっかく造ったビールがお客様のもとに届けられない事態となり、急遽スケジュールを前倒して、4月より缶ビールのリリースをはじめました。
オンラインストアでの注文の際にメッセージを添えてくださった方、またSNSでビールの感想をあげてくださった方。奈良醸造タップルームも営業自粛するなかで、お客様と接する機会も減り、醸造所でひたすら缶詰め(充填からラベル貼りまで1本ずつ手作業!)にかかっていた僕たち奈良醸造スタッフにとって、様々な形でいただいた声は、何より励みになりました。
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コラボ。
2020年は人の移動が大きく制限されたこともあり、地元奈良に対してより深く向き合うことになりました。その結果、月ヶ瀬の大和茶を使ったビール、そして、奈良産のヤマトタチバナを使用したビールと、地域に根差したビールが誕生しました。生産者が生産物と向き合う真剣さ、真摯さは、ビール造りの初心を思い返す機会となりました。
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などなど、限られた時間と環境の中で完成させていかねばならないという制約のもと、どうにか、それぞれを完成させることができた、と感じています。
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はじめにも書きましたが、ビールは手に取って、飲んでくださる方があってこそのもの。皆さんの目の前にある一杯のビールは、醸造所から、バー・レストラン・酒販店を経て、沢山の人々の手を通って、ようやく届くものです。ビールのバトンをつないでいくこの環こそが、クラフトビール・コミュニティなんだと改めて感じることができた1年でした。
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この場を借りて改めてお礼を申し上げ、年末のご挨拶と代えさせていただきます。
今年もありがとうございました!