スイカを使用したウィートエール「WATERMELON HEAD(ウォーターメロンヘッド)」。2018年にリリースした後、4年の空白期間を経て2024年に復活。それ以来、毎年夏に醸造しています。社内でもファンの多いこのビール。今回はヘッドブルワーの浪岡、ブルワーの金子、マーケティング担当の原田の3人に、座談会形式で誕生の背景から製造の裏側、名前とデザインの秘密までを語ってもらいました。
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スイカでビールを造るという発想
原田 そもそもの話になるんですけど、なぜスイカのビールを造ろうと思ったんですか?
浪岡 2018年当時は日本にスイカを使ったビールがほとんどなくて。でも個人的にはスイカのフレーバーはビールにも合うはずだと思ってたんだよね。
原田 ベースにウィートエール(小麦のビール)を選んだのはなぜですか?純粋な疑問で、IPAではダメだったんでしょうか。
金子 スイカは他の果物に比べても香りが繊細なので、ホップが強いとスイカの香りがマスキングされてしまう恐れがあるかも?
浪岡 そう。スイカはマンゴーやパッションフルーツのように個性の強い果物ではなく、果汁だけでは強度が弱くて、そのままだと物足りなさを感じてしまう。口当たりのささやかな抵抗感を作るために、ウィートエールが合うんじゃないかなと。地味なスタイルだけど、素材を活かすならこれしかないと思って。
原田 確かに、まろやかさがありますよね。
金子 ボディ感は小麦によるものだと思います。全部大麦のモルトで仕込むと、もっとすっきりした仕上がりになるはず。
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80kgのスイカピューレを、人の手で
原田 スイカの香りをしっかりと感じられると思うんですが、どれくらいの量を使っているんですか?
金子 今回は2000Lのビールに対して、80kgのスイカを入れています。1kg単位でピューレ状にしたものが届くので、タンクの上に1人が立ち、下から2、3人がパウチを渡して、上の人が開けて入れていく流れです。ひたすらその繰り返しです。造るのは夏なので、タンクの上は暑いし大変でした…。
原田 80kgも!普段オフィスにいるので知らなかった。お疲れ様です…。
浪岡 中途半端な量だと、スイカではなくキュウリのようなウリ科特有の青い香りが先に立ってしまう。だからスイカらしさを出すには、それなりの量が必要。当初の2018年はスイカの量が今の4分の1だったけど、コストとのバランスも考えながら、さらに香りを感じられるようにブラッシュアップしてます。

苦みを抑えた、スイカのためのホップ使い
原田 フルーツと聞くと甘いものをイメージするんですが、「WATERMELON HEAD」は上品な甘みですよね。
金子 発酵中に糖分を酵母が食べるのでスイカの甘さはほとんど残りません。甘みを感じるとしたら、スイカの香りの印象とモルトによるものかも。
原田 IBU(苦さの指標)も6と、低いですよね。
金子 ホップの使い方には、苦みをつけるためと、香りを出すための2通りがあります。IPAのようなビールでは何種類ものホップを大量に使いますが、フルーツを主役にしたビールでは、苦みをつけるための通称「ビタリングホップ」と言われるホップを最低限だけ使ってます。トロピカルな香りのホップを使ってしまうと、繊細なスイカの邪魔になるので。
ホップには雑菌が増えにくくなる働きもあるので、その点も考えると、この量がいちばん理にかなっているんです。

1杯で完結させないという設計
原田 最初にスイカのビールと聞いたときは、1杯で充分か、と思いましたが、何杯でも飲めちゃいますよね。
浪岡 それが狙い。1杯で完結させず、おかわりしたくなるようなビールを造ることは、奈良醸造のビール全体に共通する考え方です。ある飲食店で、パイントで4杯飲んだお客さんがいたとか。でも飲みすぎは注意(笑)。
金子 甘みも麦芽由来のさっぱりしたものなので、ジュースと違って、甘さに疲れず飲み疲れしにくいのかもしれません。
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名前と、デザインのひみつ
原田 「WATERMELON」はそのままスイカですけど、「HEAD」の由来は?
浪岡 直訳すると、スイカ頭。実は…80年代のとあるホラー映画が着想源。キョンシーと聞くとピンと来る人もいるかも。デザイナーの久保元気さんに描いて頂いたラベルデザインも、映画に出てくる道士のような雰囲気だな、と僕は勝手に思ってる。
原田 実は公式サイトのビール一覧で、このビールだけデザインが動いているんですよね。飲みながら見ていたら「あれっ?」と、自分が酔っぱらっているのか不安になりました(笑)。
浪岡 デザイナーの元気さんの遊び心やね。再リリースのときからで、いつの間にか動いてた。

季節をこえて、どう楽しむか
原田 スイカのビールは夏のものというイメージもあるんですけど、「WATERMELON HEAD」は季節問わず飲んで欲しいな、と思います。自分としては朝食に出て来てほしいくらい、飲みやすくて…。二日酔いにもマッチする。
金子 (笑)。僕はお風呂上りに冷やした状態で飲みたいですね。外飲みも心地よい季節なので、冷やした「WATERMELON HEAD」を明るいうちから飲むのもいいかも。
浪岡 先入観を持ってほしくないので、あまり公式のペアリングは言わないようにしているけど、料理に合わせるなら味の濃くない和食や、白身魚の天ぷらなど、淡泊でやさしい味のものが合う気がする。
原田 秋の味覚にも合うかもしれないですね。最後に、ブルワーのふたりにとって、このビールはどんなビールですか?
浪岡 初見では味の想像がしにくいかもしれませんが、毎年出したくなるほど気に入っている一杯です!
金子 奈良醸造は、季節のフルーツを使ったビールがあまり多くありません。そのなかでも定番であってほしいと思うくらい、バランスがいいと感じています。
季節を問わず、爽やかに飲んでいただける「WATERMELON HEAD」。現在オンラインストアで販売中です。ぜひお楽しみください。
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